非公式編集後記:2021年3月8日(月)、9日(火)
ビットコインには価値の基盤がない?
ビットコインにはファンダメンタルズ(=価値の基盤となる条件)が存在しない、とよく言われます。
ファンダメンタルズとは、野村證券の証券用語解説集によると、
経済活動の状況を示す基礎的な要因のことで、経済の基礎的条件と訳されている。
例えば、一国経済の基礎的条件は経済指標で示すことができる。経済成長率、物価上昇率、失業率、財政収支の赤字(黒字)率、経常収支の赤字・黒字額などがそれである。
また、株式においては、株式の本質的価値(ファンダメンタル・バリュー)を決定するのは、企業の財務状況や業績状況であり、PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)、ROE(株主資本利益率)などが代表的な指標として使われる。
となっています。
簡単に言えば、ファンダメンタルズは「企業」の評価軸であり、成績と言えます。
では、ビットコインの評価軸、成績は何でしょうか? 何が理由で1ビットコインが600万円にまで届こうとしているのでしょうか?
ちなみに好調な株価も最近では「実体経済から乖離している」などと言われます。企業の実際の成績を表しているのではなく、人々の「まだまだ上がるだろう」という期待を反映しているというわけです。
もちろん、成績には「今後の期待」も含まれます。ただ今はそれが、実際の成績からあまりにもかけ離れているというわけです。その状態を作り出した大きな理由の一つが、新型コロナ対策のための経済刺激策がもたらした、前例のない「カネ余り」状態です。喫緊の使い道のないお金が株式市場に向かっているというわけです。
有名人の発言で上昇するドージコイン
ビットコインの驚異的な上昇も、同じ要因と考えられています。そしてそもそも、ファンダメンタルズを持たないビットコインに、なぜ多くの人が価値を見出しているのか?
それを探るヒントとなるのが、最近話題のドージコインです。
ジョークとして作られたドージコインがいつの間にか人気を集め、有名人の発言によってさらに価格を上げ、多くの人が群がるようになっています。
「価値の源泉は、皆が価値があると信じていること」
これは、法定通貨についても同じと言われます。紙や金属に過ぎないお金に価値があると皆が合意しているから、現代の通貨制度は成立しています。もちろん法定通貨には「国家」という裏付けがあります。
ドージコインやビットコインは人々が価値があると信じているから、価格が上がる……と、これ以上の展開は記事を読んでいただいた方が確実ですね。
ちなみに株は「美人投票」などとも言われます。業績などではなく、「多くの人が上がると考えた株が上がる」という理屈です。それも過去に記事で扱っているので、ぜひ、ご一読ください。
すでに600万円近くまで上昇し、アメリカでは機関投資家の参入が続き、投資環境の整備も進むビットコイン。
今さら「なぜ価値があるのか」などと考えることは、実際にはほとんど意味がないですね。
「なぜビットコインに価値があるのか? そこにビットコインがあるから」(あまりいい喩えにはなっていませんね)