非公式編集後記 Vol.7:12月31日(木)
非公式編集後記、12月31日分です。
すでに2021年1月3日ですが、31日に公開した「ビットコインをめぐる発言で振り返る2020年」の編集後記です。
ビットコイン、350万超え
ビットコインの上昇が止まりません。1日に300万円を超えたばかりですが、現在(3日18時30分)、350万円を超えています。24時間で40万円以上、14%近い上昇です。
このビットコイン価格の上昇は、アメリカでの機関投資家の参入によるものと言われています。
アメリカではインフレへのリスクヘッジとして、投資ファンドや生命保険会社などの機関投資家がビットコインを購入しています。
機関投資家が「100億円」規模でビットコインを購入していることを見ると、個人投資家もその動きを追いたくなります。
ですが注意したいのは、機関投資家のビットコイン投資は、金額は「100億円」などと個人投資家から見れば、きわめて大きな金額ですが、機関投資家の運用資産全体から見れば、多くの場合、1〜2%です。
2%投資の考え方
投資資金として1000万円あり、年5%で運用するとします。1年後に1050万円、+50万円です。
5%のリターンは、控えめな数字に思えるかもしれませんが、今、銀行の定期預金の金利は、0.002%。1000万円を預けても、1年後に「+200円」。
つまり、5%のリターンは、銀行の定期預金の2500倍。天文学的に高いリターンです。
1000万のうちの2%、20万円をビットコインに投資する戦略を考えてみましょう。
[ビットコインが年50%上昇した場合]
980万円を5%で運用した場合、1年後には、1029万円。
20万円のビットコインが年間で50%上昇したとして、30万円。
合計で1059万円。1年で「+59万円」、利回りは5.9%まで上昇します。
[ビットコインが年100%上昇した場合]
20万円のビットコインは、1年後には40万円です。
合計すると、1069万円。「+69万円」、利回りは6.9%です。
つまり、ビットコインのボラティリティ(価格変動)の大きさを考えると、ビットコインにわずか2%投資しただけでも、全体に与える影響は大きくなります。
もちろん、ビットコインが下落すれば、話は逆になります。ただし、その場合も、投資額を2%に抑えることでリスクを抑えるわけです。
ビットコインは2020年、1年間で300%以上上昇。機関投資家の参入はまだ続きそうです。
作業記録
12月31日(水)翻訳・編集ワード数:1045
(追記:1月54日)
2020年を象徴する発言をピックアップ
31日に公開した記事から、特に注目の発言をピックアップしてみます。
2月「暗号資産は基本的には価値がない」
新型コロナウイルス感染拡大への危機感が広がり、株価が下落を始めていた頃、世界有数のビリオネアであるウォーレン・バフェット氏は、これまでと同じようにビットコインに否定的な発言を行いました。
多くの伝統的な投資家の考え方を象徴する発言だったと言えるでしょう。
3月半ば、株価は、各国の政府が緊急の経済対策を打ち出したことによって、反転。ビットコインも大幅下落の底を打ちました。
4月以降、ビットコインについて強気の発言が目立つようになりました。
「中央銀行による記録的な経済刺激策は、ビットコインが作られた理由を思い出させてくれる」
などです。ただし、この時点では発言は、暗号資産業界のものでした。
5月「価値の保存手段の誕生を目撃している。成功するかどうかは、時間だけが知っている」
今(2021年初頭)振り返ると、ビットコインに関する2020年の発言の中で、最も大きな転換点となったものは、ヘッジファンド業界の大物ポール・チューダー・ジョーンズのこの発言でした。
伝統的な投資業界の大物がビットコインに注目していることを公にしました。
5月はちょうど、ビットコインが3度目の「半減期」を迎えました。
5月、6月頃、ビットコイン価格は100万円付近。投資に「if」はありませんが、この頃、ビットコインに投資していれば...。
投資は、確固とした信念(戦略)のもと、リスクを取ることができる人(そして、投資できる資本を持っている人)が大きなリターンを手にすることができるのですね。
この後、ビットコインについては、ときにネガティブな発言はあるものの、基本的には強気の発言が続きます。
そして、2020年のビットコインの動きを最も象徴している発言、ダメ押しした発言が次の発言でしょう。
10月「巨大企業がビットコインにどっぷり投資していることを見るのは、少し夢のようだ」
これは9月に米ナスダックに上場しているBI企業のマイクロストラテジーが、約5億ドルの内部留保の大部分をビットコインに投資したことを受けての発言だ。
※BI:ビジネス・インテリジェンス。企業の基幹システムに蓄積されているデータを、分かりやすく、タイムリーに提供することで、企業活動を支援することを言う。
暗号資産ファンドや暗号資産関連企業ではない企業が、大規模なビットコイン投資を発表したのは、アメリカはもちろん、世界的に見ても、これが初めてと言えるだろう。
これ以降、米決済企業のスクエアがビットコイン取引サービスを提供、米老舗生保のマスミューチュアルによるビットコイン投資、伝統的な投資ファンドによるビットコイン投資など、機関投資家の積極的な動きが続いていく。
4日9時時点で、ビットコイン価格は約337万円。350万円を下回ってはいるが、上昇ペースはまだまだ衰えていない。
アメリカでは機関投資家の参入がまだまだ続くと考えられており、ビットコイン価格は500万円も視野に入っていると言われている。
とはいえ……、一個人としては、ここまでの上昇は「恐ろしくて手が出せない」というのが正直なところ。「2%の投資」と書いたように、リスク(大幅下落)にも耐えられる範囲で投資してみることが、第一歩ですね。