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暗号資産(仮想通貨)メディアでの翻訳編集、ほぼ毎日の編集後記。

中国を誘う“計画経済”の甘い罠

中国を誘う“計画経済”の甘い罠

CoinDesk Japan ── 新しい経済をつくるビジネスピープル・投資家のための、次世代型・金融/経済/ビジネスのニュースメディア ── に創刊半年後の2019年9月に加わり、翻訳記事の編集を担当しています。

ビットコインイーサリアムDeFi(分散型金融)、中央銀行デジタル通貨(CBDC)、デジタル人民元、リブラ、ブロックチェーン、マイニング……日々、新しいニュースを追いかけています。

噛み砕くことで精一杯な毎日ですが、もっとよく消化・吸収できるよう、定期的に翻訳した記事を振り返っていきたいと思います。

1回目の今回が木曜日になったので、まずは11/16(月)〜19(木)の4日間の中から、気になるニュースを取り上げます。

中国からの注目ニュース×3

今週、特に気になったのは、

16(月)

17(火)

18(水)

と週の前半に続いた中国関連のニュースです。

ビットコイン、マイニング、デジタル人民元ブロックチェーン……。中国の動きは無視できません。

 

16(月)の記事は、「史上最大」といわれたアント・グループのIPOの突然の中止と、中国が積極的に進めるデジタル人民元の関係に触れた記事でした。

グローバル経済の中で、ますます存在感を大きくしている中国経済、その象徴ともいえる企業に突然のしかかった政府の圧力。

知り合いに、中国に強い、飛ぶ鳥を落とす勢い(?)のジャーナリストがいるので、IPO中止の分析はそちらに任せたいと思います。ちょうど今日、以下の記事が公開されています。

いずれにせよ、政府が巨大企業への介入を強めていることは間違いなさそうです。

 

17(火)の記事は、中国が暗号資産(仮想通貨)取引所への規制を強化している、という記事。

 

18(水)の記事は、ビットコイン・マイニングは直接的な規制を受けていないものの、ビットコイン取引が規制されているために、獲得したビットコインを現金化できず、電力料金が払えなくなっている、という記事でした。

中国は世界のビットコイン・マイニングの70%を占めるといわれています。

今、価格が急上昇中で史上最高値を更新しそうなビットコイン。かなり乱暴ですが、中国はその将来を握っているともいえます。ですが、中国政府はそこも抑え込もうとしているようです。

マイニングの大きなシェアを握っているとはいえ、ビットコインはそもそも政府のコントロールが及びません。中国政府にとっては、目障りな存在といえるでしょう。そう、アント・グループと同じように。

管理への欲求

16(月)の記事は、アントのIPO中止の背後に見え隠れする「デジタル人民元」の影響に触れた記事でした。

デジタル人民元が普及すれば、中国政府はお金の動きを今以上に詳細に、短期間で把握できるようになります。

「お金の動きがすべて把握されてしまう」と危惧する声もありますが、10億人を超える国民一人一人のお金の流れを把握するには、いくらデジタル化しているとはいえ、膨大なコンピューターパワーと労力、コストがかかります。

なので、当面はそうした事態は起こらないと思いますが、デジタル化によって、現状よりもお金の流れをつかみやすくなった時、管理側の欲求が「もっとリアルタイムに、もっと詳細に、できればユーザー(国民)一人一人のデータを」と突き進んでいってしまうことは簡単に想像できます。

目の前に、今まで手にできなかったようなデータが並んだ時、それらをコントロールできるかのような錯覚が生まれるのではないか。

国家レベルでは、その巨大さゆえに、そうした問題も簡単には置きないかもしれませんが、地方当局、市当局のレベルで、デジタル人民元の流れを把握できるようになった時(どのような管理が行われるのかは、まだわかりませんが)、なんらかの混乱や行き過ぎが生まれそうな気がします。

「究極の計画経済が実現できる」

デジタル人民元で、そんな思い込みが生まれる下地が整うように思います。

 

追記: 日本でも今日、デジタル通貨について、大きなニュースがありました。日銀が進める「デジタル円」が実現する以前に、“事実上の”デジタル円が生まれるかもしれません。

 

作業記録

11月16日(月):翻訳・編集ワード数:2605

11月17日(火):翻訳・編集ワード数:1479

11月18日(水):翻訳・編集ワード数:1246

11月19日(木):翻訳・編集ワード数:1240